生前の財産整理のススメ

  相続が発生した後の手続は、通常は法律に定める相続人によって進められ、本人(故人)は当然のことながら関与できません。遺言書がなく、もし遺産分割協議が紛糾してしまうと、なかなか収拾がつきません。しかし生前に財産(遺産)の所有者自身が、財産を推定相続人等に贈与したり、遺言書で遺産分割方法などを定めておけば、死後の遺産を巡るトラブルを回避することができます。

相続時に予想される問題と対策

◆遺産分割協議の紛争
対策1.遺言書作成

 遺産分割方法と遺言執行者を指定して、相続開始後は遺言執行するだけの状態にすることで紛争を防ぎます。

対策2.生前贈与

 紛争の原因となる財産を生前に処分(指定する推定相続人に贈与)する等により、紛争を防ぎます。

対策3.家族信託  

 財産の管理方法を指定することで紛争を防ぎます。

   ※遺産分割について [遺産相続と登記(内部リンク)]  

◆相続税
対策1.生前贈与

 課税対象となる財産を生前に処分(推定相続人に贈与)することで、遺産を減らして税負担を軽減できます。ただし死亡直前の贈与は相続財産と判定される場合があります。

  ★配偶者の特例(控除2,000万円)

  ★相続時精算課税制度(控除2,500万円)

  ★暦年課税(控除 年110万円)
   ※相続税について [遺産相続と登記(内部リンク)]

◆推定相続人の中に行方不明者等がおり遺産分割協議自体が困難
対策1.遺言書作成  

 遺産分割方法を指定することにより、遺産分割協議の合意を省略できます。

対策2.生前贈与

 生前に財産を贈与することで遺産対象から外し、遺産分割協議の合意を省略できます。

◆空家(相続人となる人がいない場合)

対策1.遺言書

  相続人が誰もいないと、最終的には遺産は国庫に帰属することになります。遺言書により遺産の承継先を定めておけば回避できます。


◆借金(債務)
対策1.債務の明細整理

 生前に返済等ができない場合、相続人が相続放棄または限定承認(相続人による清算)の判断ができるように書面で整理しておくと良いでしょう。

経営者の事業承継と自主廃業

◆事業承継

  経営者にとって自身の相続は、家族の問題であると共に経営の問題を含んでいます。会社を経営されている人は、株式の相続や代表取締役の変更があり、個人事業主は事業資産の相続(承継)があります。どちらも経営に大きな影響を及ぼします。株式や事業資産は個人の相続財産であり遺産分割や相続税の対象になるからです。事業の安定した継続の為には、自身の相続の前に事業承継について対策する必要があるのです。

◆自主廃業

  経営者に承継者がいない場合や、経済情勢により事業継続が困難な場合、廃業も選択の一つです。自ら廃業して資産を整理した上で適切に管理することにより、自身の老後や残される家族に安定した生活を確保することもできます。

  ※会社と個人事業主の違いについて [会社設立/登記(内部リンク)]

事前に知っておくべき事

1.誰が相続人となるか(推定相続人)。

   ※相続人の範囲(法定相続人)について [遺産相続と登記(内部リンク)]

2.財産(遺産)の総額はどれくらいあるか。

   ※遺産の対象となる財産について [遺産相続と登記(内部リンク)]

3.事業に関する財産(遺産)はどれくらいあるか。
・株式や事業資産(個人事業主)が、財産中どれくらいの割合を占めるか。
・事業後継者は相続人か、第三者か。

具体的な対策について

◆生前贈与
 推定相続人への生前贈与は、生前における事実上の遺産分割です。財産保有者が自ら財産処分を行うことで、将来の遺産分割における紛争の回避に役立ちます。また財産を推定相続人に移転させることにより財産は相対的に減るので、相続税の節税にも効果があります。但し贈与税は掛かります。
 贈与税については、配偶者への贈与(居住用の不動産)、子への贈与(相続時精算課税)については控除の特例制度があります。推定相続人への生前贈与は、遺産分割の紛争回避と相続税の節税の両方に効果があります。

   ※配偶者や子への贈与について [贈与と登記(内部リンク)]

◆遺言・死因贈与
 遺言書を利用して遺産分割の方法を指定するなど遺産承継の方法を決めておくことができます。死因贈与を利用して死後に贈与が実行されるようにしておくこともできます。不動産の死因贈与契約を締結した場合は、生前に仮登記をして権利枠を保全することもできます。遺産分割による紛争回避に役立ちます。

   ※遺言について [遺言と登記(内部リンク)]

   ※死因贈与と遺言については [贈与と登記(内部リンク)]

◆株式の譲渡
  会社名義の事業資産は会社という法人の資産なので、遺産分割の対象にはなりませんが、会社の株式は個人の資産ですので遺産分割の対象になります。株式の所有者(株主)は会社に対して大きな権限(役員人事など)をもっていますので、株式の相続について遺産分割で揉めてしまうと事業継続に影響してしまいます。実務では生前の贈与や売買を利用した譲渡や、遺言書による譲渡などで、株式を確実に後継者に承継させることが多いです。

◆役員変更の登記手続
  事業承継の為に株式の譲渡(承継)とは別に、社長(代表取締役)の交代手続を行う必要があります。株主は会社に対して大きな権限(役員人事など)を持っていますが、実際に会社を代表し経営を行うのは社長(代表取締役)です。株主と社長の役割は法律上明確に分離しています。役員人事は株主総会で決定することができます。実務では、後継者をまず取締役に選任し、時期を見て代表取締役(社長)に選任するパターンが多いです。これら役員の住所氏名と就任事実は登記事項なので、変更の際に登記手続きをする必要があります。

   ※役員変更について [会社設立/登記(内部リンク)]

◆事業資産の譲渡(個人事業主)
 個人事業を営んでいる場合は、株式譲渡や役員登記の問題はありませんが、事業資産は事業者個人の財産なので遺産分割の対象になります。後継者を定めても遺産分割で揉めてしまうと、事業資産が後継者に上手く承継できず事業に支障が生じる可能性があります。上記の生前贈与や遺言、死因贈与もしくは売買などを利用し、個人資産と事業資産を分けて承継をスムーズにできるようにしておくことが大切です。





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