住宅ローンの登記とは
住宅ローンの登記とは、住宅ローンを利用して購入した不動産(自宅)に設定する担保権(主に抵当権)のことです。担保権とは住宅ローンの返済が滞った時に、担保権を設定した不動産を売却して貸付金を回収する為の権利で、金融機関や保証会社が担保の権利者になります。担保権の行使は裁判所による強制競売ですが、あえて担保権を行使せず裁判所を利用しない任意売却で住宅ローンを清算する方法もあります。
なお、一般の住宅ローンでは担保権として抵当権が多く利用されます。抵当権は担保権を行使する時以外は、所有者の不動産使用を制限しない特徴がある為です。似たような担保権に根抵当権がありますが、こちらは限度額を設定して複数債権を担保する用途である為、住宅ローンに利用されることは少ないです。
住宅ローンに関する登記(抵当権の設定/変更/抹消)
◆住宅ローン借入時の担保設定(抵当権設定登記)
住宅ローンを利用した不動産(自宅)購入の際、万一の返済不能に備えて金融機関が不動産に担保設定します。この時に行う登記が抵当権設定登記です。自宅購入時の売買登記(不動産の名義変更)と同時に行います。
◆住宅ローン借入中の追加担保設定(抵当権設定(追加)登記)
居宅の新築に先立って住宅ローンを利用して住宅用地を購入した場合、新築時に住宅ローンの担保効力を居宅に及ぼして共同担保とする為、金融機関から追加担保の設定(抵当権設定(追加)登記)を求められます。居宅と敷地を一体の価値として評価し、住宅ローンを組んでいる為です。新築建物の登記と同時に行います。
◆住宅ローン借入中の借主(債務者)の住所変更(抵当権変更登記)
先に住宅用地を購入し、後に自宅を新築した場合、新居に住所移転(引越し)します。この時、住宅用地の所有者名義人の住所および住宅ローンの為に設定した抵当権の債務者住所の各変更登記を行う必要があります。上記の追加担保設定(抵当権設定(追加)登記)と一緒に行われる場合が多いです。
◆住宅ローン借換え時の担保設定/解除(抵当権設定登記+抵当権抹消登記)
住宅ローンの途中で、金利などの事情により、別の住宅ローンに乗り換えることを一般に”借換え”と言います。新しい住宅ローンの借入金で、現状の住宅ローンを返済します。新しい住宅ローン先の金融機関に対する担保設定(抵当権設定登記)と、現状の住宅ローン先の金融機関に対する担保解除(抵当権抹消登記)を行います。
◆住宅ローン返済時の担保解除(抵当権抹消登記)
住宅ローンの返済が終わった時、その他担保が解除された時に金融機関が設定した不動産の担保権(主に抵当権)を解除する登記が抵当権抹消登記です。返済が終了しても別途 抵当権抹消の登記手続を行わないと何十年経っても登記記録が残りますので、忘れないように注意する必要があります。
返済が終わり、金融機関から担保解除(抵当権抹消登記)の書類が送られて来たら、自分で登記申請を行うか又は司法書士に依頼して登記申請を行うことになります。
住宅ローン登記の前提として必要な登記
住宅ローンの借換えや返済(解除)の登記を行う前提として次の登記が完了している必要があります。
◆相続登記
借換えの際、借主(担保提供者)が登記名義人の相続人である時、相続登記が未了の状態だと死亡した登記名義人が担保提供することになり住宅ローン契約ができない為、事前に相続登記を完了しておく必要があります。また返済(解除)は契約ではありませんが、登記申請の当事者は生存している必要がある為、事前(または同時)に相続登記を行う必要があります。
→ 相続登記はこちら
◆住所・氏名の変更(更正)登記
登記名義人の登記記録上の住所氏名が、現在の住所氏名と同一でないと、登記書類(住民票や印鑑証明書)と登記記録で同一人であることの確認ができず登記申請ができない為、事前(または同時)に住所・氏名の変更(更正)登記を行う必要があります。
定額手数料の住宅ローン借換え登記
利用条件を満たす場合、定額の手数料(調査費や交通費等の実費を含む)で利用できます。利用にあたっては、住宅ローンの審査後、当事務所に手続依頼した後で金融機関の担当者に司法書士を指定したい旨を申し出て下さい。金融機関との調整、登記書類の授受は当事務所にて行います。
◆利用条件
1.住宅ローンの借換えであること。
2.借換先の新しい住宅ローンの額が5,000万円以下であること。
3.金融機関が取扱う住宅ローンであること。
4.担保提供者である不動産の登記名義人が、問題なく意思表示できること。
5.その他、特段の事情がないこと。
◆費用
総額=45,000円(手数料・実費)+税金(登録免許税・消費税)+登記事項証明書1通600円
※1.住所・氏名に変更がある場合、1件につき手数料5,000円追加(+調査費)。
※2.抹消する抵当権が2件以上ある場合、2件目以降1件につき5,000円追加。
※3.不動産の権利証(登記済証・登記識別情報通知)を紛失している場合、30,000円追加。
※4.相続登記が必要な場合はこちら。
◆手続内容
1.金融機関と登記に関する打合せや書類授受等の調整事務。
2.住宅ローンの登記申請(抵当権設定/抵当権抹消の各登記) 。
3.登記完了書類の送達事務。
◆依頼者に準備して頂くもの
1.不動産の権利証(登記済証・登記識別情報通知) 。※無い場合は必ず申し出て下さい。
2.登記名義人の印鑑証明書(金融機関に登記用として提出済であれば不要)。
◆完了後にお渡しするもの
1.担保解除書類一式 。
2.不動産の権利証(返却)。
3.登記事項証明書および登記完了証。
◆費用の計算例
自宅(土地・建物、各1筆)の住宅ローンを借換え(借換額2,000万円)した場合。
※借換前(既存)の抵当権×1件、借換後(新規)の抵当権×1件とします。
事務内容 | 手数料 | 実費 | 登録免許税 | 備 考 |
抵当権設定登記 | 45,000円 | 80,000円 | 2,000万円×0.4%(税率) | |
抵当権抹消登記 | 2,000円 | 不動産×2筆×1件 | ||
事前の登記事項調査 | ― | |||
交通費・郵送費 | ― | |||
筆数加算 | ― | |||
借入額加算 | ― | |||
登記事項証明書 | ― | 1,200円 | ― | 不動産×2筆 |
小計 | 45,000円 | 1,200円 | 82,000円 |
費用=128,200円(消費税は除く)
定額手数料の住宅ローン返済/解除の登記
利用条件を満たす場合、定額の手数料(交通費等の実費を含む)で利用できます。利用にあたっては、金融機関等から送付された(又は受領した)抵当権解除の書類一式をご準備ください。
◆利用条件
1.住宅ローンの返済(又は解除)であること。
2.住宅ローン先から送付された(又は受領した)解除書類一式を所持していること。
3.自宅不動産の登記名義人が問題なく意思表示できること。
※登記名義人が死亡している場合、相続登記も必要になります。一括手続が可能です。
4.その他、特段の事情がないこと。
◆費用
総額=10,000円(手数料・実費)+税金(登録免許税・消費税)+事前の登記事項調査1通500円
※1.住所・氏名に変更がある場合、1件につき手数料5,000円追加(+調査費)。
※2.抹消する抵当権が2件以上ある場合、2件目以降1件につき5,000円追加。
※3.相続登記が必要な場合はこちら。
◆手続内容
1.登記申請(抵当権抹消の登記) 。
2.登記完了書類の送達事務。
◆依頼者に準備して頂くもの
1.金融機関から送付された(又は受領した)抵当権解除書類一式。
2.登記名義人(所有者)の認印。
3.住所変更など他の登記も必要な場合は、相談の際に説明いたします。
◆完了後にお渡しするもの
1.担保解除書類一式。
◆費用の計算例
自宅マンション(建物×1/敷地×2 ※敷地権付区分所有建物)の住宅ローンを完済した場合。
※抹消すべき抵当権×1件とします。
事務内容 | 手数料 | 実費 | 登録免許税 | 備 考 |
抵当権抹消登記 | 10,000円 | 3,000円 | 不動産×3筆 | |
交通費・郵送費 | ― | |||
筆数加算 | ― | |||
事前の登記事項調査 | 100円 | 400円 | ― | 調査不動産×1筆 |
小計 | 10,100円 | 400円 | 3,000円 |
費用=13,500円(消費税は除く)
事務内容と費用(手数料)の補足
◆事務内容の補足
1.住宅ローンの登記に関する手続および事務を行います。
2.住宅ローンに関する登記の際、以下の場合、別途登記手続が必要です。
・登記されている名義人の住所氏名が、現在の住所氏名と異なっているとき
・登記されている名義人が死亡した人のままになっているとき
→ 相続登記はこちら
◆費用(手数料)の補足